静岡民家の会



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7月例会報告

7月例会報告                           2009年7月11日(土)

日頃の会員各位のおこないが良いためか、梅雨の合間の見事な晴天になりました。
朝8時半、修善寺駅前に集合した参加者は、スタッフもあわせて25人。車5台に分乗して、さあこれから伊豆の名建築を巡る旅の始まりです。
まず「日本のストーンサークル」として有名な上白岩遺跡の近く(ここにもいつか行ってみたい!)の伊豆市上白岩の「大井上康文献資料館(登録有形文化財)へ。「巨峰の父」といわれる大井上康氏の研究室、実験棟の建物は、明治に建てられた洋風建築です。実は、地図で見ても等高線は書いてなかったのであんな高地にあるとは気づかなくて‥しばらく道を探してしまいました。やっとたどりついたところは、今も残るぶどう畑や温室のある広い土地に、白いペンキが塗られた南京下見貼りの洋館。富士山も望める高台に、さわやかな風が吹いていました。

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建築した時も、その後の暮らしの中でも、下から資材や生活用品を運び上げるのがひと苦労だったといいます。康博士の息子さんのお嫁さんにあたるHさんが、鍵をあけて中も見学させてくださいました。「何も整理もできていないで…」とおっしゃっていますが、その貴重な研究の資料や文献などを散逸せずにこの建物とともに保存してくださっているだけでもありがたいことです。80才過ぎというお年にみんな驚いたほど、つやつやのお肌のすてきなHさんでした。どうもありがとうございました。

修善寺のハリストス正教会(県有形文化財)と、新井旅館(登録有形文化財)の青州楼外観とを見ながら車は沼津市に向います。緑の中に白い塔が美しいハリストス正教会は、明治45年に建てられた木造漆喰塗りの建物。伊豆の大工さんたちが苦労して(見よう見真似で!)洋風建築に取り組んだものです。信者以外は原則的に中にはいれませんが、月に一回、見学できる日があります。今回はその日ではなく、いろいろな手段でお願いしてみたのですが無理でした。でも参加者全員に行き渡るよう、とても美しいリーフレットを送ってくださったので、いつかまた内部の見学もしてみたいと思いました。教会関係の方、伊豆市役所の担当の方、ありがとうございました。

沼津市の戸田(へだ)は、古くから伊豆西海岸の良港として知られています。嘉永7年(1854)に、条約締結を求めて下田港に来航していたロシアの軍艦ディアナ号が安政大地震による津波で大破した際、戸田村(当時)の船大工棟梁たちが造船にあたったことは有名で、代船「ヘダ号」を建造して習得した技術は日本の近代造船の発展のもとになりました。またロシアとの交流もここに始まっています。それらの歴史などを知ることができる造船博物館にも寄りたいところですが、今日は、この地で廻船業を営んでいた松城家を、造船博物館の学芸員さんの案内で見学しました。

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松城家住宅は、2006年に重要文化財に指定されたばかりです。明治6年の棟札がみつかっている「擬洋風建築」で、当時流行し始めていたものですが、学校や病院でなく個人の住宅の現存しているものとしては、日本最古のものです。伝統的な日本建築にこうやって洋風のデザインを取り入れたのだな‥という驚き!の工夫がたくさんあって、また伊豆の長八で名高い左官の技、漆喰鏝絵(しっくいこてえ)も各所に見ることができました。

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        玄関上部の漆喰鏝絵も繊細で美しい。洋風の図柄も目を魅く


つい近年まで住んでいたという松城家は、代々の人達の住まい方や、ここを訪れたお客のエピソードも含めて興味深いものでした。民家の会会員の熱心な質問にてきぱきとお答えいただいた学芸員のTさん、ありがとうございました。お疲れ様でした。

さて、昼食はもちろん!港の食堂で新鮮!お刺し身定食をいただきました。戸田は高足ガニでも有名ですが、シーズンでなかったのでやめました(実は…予算オーバーだったので‥)。
食後は、美しい海を見ながら、西海岸を南下します。今回の旅は、細い道もある伊豆を廻るために、ツアーバスをチャーターせず行きましたから、小回りが効いてとてもよかったのですが、運転してくださった方は本当にお疲れさまでした。心からの感謝!!!です。

土肥の町を抜け、松崎にはいります。伊豆の長八が生まれ、活躍したところで弟子もたくさんいたようです。そしてもう一つ、明治の時代に教育熱が高かったことでも有名です。伊豆で最初の小学校として、明治12年開校、明治13年に建物が完成した「岩科学校」は、総建築費2360円66銭のうち、4割が人々の寄附によって賄われたそうです。案内してくださったSさんの解説は丁寧で、知っているつもりだった重要文化財「岩科学校」のさまざまな面を発見することができました。近くの田んぼでドジョウを見つけて嬉しくなっているスタッフもいます。松崎はいいところでした。

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さて、今回の旅の締めくくりは、江戸時代の建物として登録有形文化財になっている松崎町大沢の「依田家住宅・離れ」です。依田家は大沢の豪農で、「十勝開拓の父」として有名な依田勉三の生家です。勉三は松崎町の土屋三余の私塾「三余塾」に学び、兄・佐二平とともに私立豆陽学校(現在の静岡県立下田北高等学校)を開校したことでも有名です。また、依田家は富岡製糸と同じ時代に製糸工場を営んでいた資料も残っています。

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       江戸時代の建物が残る中庭にたたずむと、まるでタイムスリップしたよう…


太いケヤキの大黒柱の重厚な母屋も土蔵も、文化財指定を受けた当時の当主の判断で、博物館みたいにはせず使われている建物として‥と、大沢温泉ホテルとなって、お客さんを迎えています。奥伊豆の山々が見渡せる屋上の露天風呂まで見学させてもらい、今回は日帰りの旅でしたから、次回は泊ってみたいという会員さんがたくさんいました。土間での大黒柱の木の根元部分で作ったという臼でのお餅つきも楽しそうです。隈なく見学させていただいてありがとうございました。

一日たっぷり楽しんだ伊豆の旅、「静岡民家の会」ならではの旅になったと思います。また充実の企画を立てますのでどうぞお楽しみに‥                     Ky。
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by sizu-min | 2009-08-04 17:30

平成21年度総会・記念講演会

平成21年度年次総会 報告   6月14日
本年度も静岡市葵区のSさま邸を会場にお借りして、第8回の年次総会を滞りなく開催することができました。この1年間の振り返り、来たる年度にむけての抱負も語られた良い会になりました。

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午後の記念講演会にもたくさんの方が集い、講師の土屋和男先生も「静岡民家の会のみなさんはとても熱心な方ばかりですね」とおっしゃってお帰りになりました。土屋先生のお話は、「田舎家という美意識」という題で、「明治時代の政財界人にも田舎家の美を深く理解した『茶人』が多かった。」というご研究の一端をお話くださり、静岡県内にも多くつくられた彼らの別荘についての考察を伺うことができました。このお話は、これからの静岡民家の会の活動へのヒントも含まれた大変興味深いものでした。早速、本年度の例会の企画にも活かしていきたいと思っています。

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さて、静岡民家の会は、みなさまに納入していただく会費で運営しています。
1年分(平成21年6月~平成22年 5月分)6,000円
もしくは 半期分(平成21年6月~平成21年11月分)3000円 です。
会員の方には、振込み用紙を郵送させていただきました。振込み手数料は、会で負担しますので、個人にはかかりません。どうぞ、お近くの郵便局よりお振込みください。
なお、昨年度の会費未納入の方がいらっしゃいます。どうぞ昨年分もご一緒にお振込み下さい。お手数をお掛けいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

新しく入会ご希望の方は、民家の会事務局までお問い合わせください。心からお待ちしています。

本年度もみなさまご健康で、例会にご参加くださり楽しい会としてくださいますよう、事務局スタッフ一同、心よりお待ちしています。
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by sizu-min | 2009-08-04 16:44 | ・例会報告


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